髄膜炎菌ワクチン meningococcus-vaccine
侵襲性髄膜炎菌感染症(Invasive Meningococcal Diseases:IMD)とは
① 髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)による感染症のうち、菌が髄液又は血液から検出されたものを侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)といいます。
② 髄膜炎菌は少なくとも13種類の血清型に分類され、IMD症例からは主に血清型A、B、C、Y、W-135が分離されています。
髄膜炎菌はヒト以外からは分離されません。
③ 国内の年間報告例数は数十例ですが、海外では年間30万人以上が発症し3万人が死亡しています。
海外では、髄膜炎ベルトと呼ばれるアフリカ中部のサハラ砂漠以南で発生が多く、先進国においても散発的に発生しています。温帯では寒い季 節に、熱帯では乾期に多発します。
④ 学生寮などで共同生活を行う10代が最もリスクが高いとされているため、特に共同生活をしている場合は感染者が発生した場合の拡大に注意が 必要です。
⑤ 咳やくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる菌が、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染します。また、感染者からの唾液の直接接触(キス、コップやペットボトルの回し飲みなど)でも感染します。
⑥ 感染すると感染者の鼻やのどの粘膜に定着して保菌者(不顕性感染者)となるか、急激に発症します。潜伏期間は2~10日(平均4日)で、かぜ様症状を呈します。菌は粘膜から血中に入り菌血症や敗血症、脳脊髄膜炎を起こします。乳幼児では、発熱・嘔吐などの症状が主で、頭部の前面にある大泉門に膨隆(盛り上がり)が認められることもあります。
⑦ 劇症型といわれる症状では頭痛・高熱・低血圧・痙攣・意識障害を呈し、皮膚・粘膜に出血斑を伴い、ショック等により、早い時には数時間から1、2日以内に死亡することがあります。
他に上気道炎・肺炎・関節炎・中耳炎・喉頭蓋炎・心内膜炎・結膜炎・膣・子宮頸管炎など多彩な疾患症状が報告されています。
⑧ 無脾症や脾臓摘出者・補体欠損症患者(特にC3、C5-C9の欠損)・免疫抑制患者やHIV感染患者と言われている方などは、侵襲性髄膜炎菌感染症の危険が高くなります。
⑨ 菌血症だけで治る場合もありますが、髄膜炎や敗血症を起こした場合には、治療しないとその死亡率はほぼ100%に達するといわれています。一方で、抗菌薬が有効で、早期に適切な治療を行うことで治ることもあります。手足が壊死した場合には、切断が必要になることもあります。
ワクチンの特徴と副反応
① 髄膜炎菌のうち、血清型がA、C、Y、およびW-135型によるIMDを予防するワクチンです。
② 他のワクチンと同様、ワクチンを接種したからといって100%感染しないというわけではありません。
③ ワクチンの成分の中にジフテリアトキソイドが入っていますが、ジフテリアに対するワクチンとして用いることはできません。
④ 1回0.5mlを筋肉内注射します。
⑤ ワクチンの接種後に、他のワクチン接種と同様の副反応がみられますが、通常は一時的なもので数日で消失します。最も多くみられるのは接種部位の痛み・筋肉痛・倦怠感・頭痛などです。また、海外では重い副反応として、血管迷走神経反射として失神・ショック・アナフィラキシー・急性散在性脳脊髄炎(ADEM)・ギラン・バレー症候群・横断性脊髄炎・痙攣・顔面神経麻痺が報告されています。
輸入ワクチン副作用被害救済補償制度
日本国内で承認されているワクチンは予防接種法、施行令によって健康被害に対する救済制度が
確立していますが、日本国内未承認ワクチンについてはその救済制度は対象外となります。その
ため、国内未承認ワクチンの副作用に関する救済補償制度は、当院がワクチンの輸入を依頼して
いる代行業者による独自の補償制度に従うことになります(別紙をご参照下さい)。
ワクチン名 | 製品 | 価格(税込) |
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髄膜炎菌ワクチン(輸入ワクチン) |
Menveo® |
18,500円(税込20,350円) |