コロナワクチンの効果はどのくらい持続するのか?4回目のワクチン接種は必要なのか?
コロナワクチン接種と抗体価の独自調査の続報
これまで私たちは新型コロナウイルスワクチン接種(ファイザー社製mRNA型ワクチン)に際し、①接種前・②1回目接種後・③2回目接種後・④2回目接種6ヶ月経過後・⑤3回目接種後の5時点で、スパイク蛋白IgG(中和抗体)の抗体価の測定を行い、3回接種により抗体価がブーストされるということまで報告してきました。
今回私たちはコロナワクチン3回目接種6ヶ月後の抗体価を測定しましたので、追加で報告します。
上記グラフの読み方と、ワクチンの抗体価の解説
被検者は医師1名、受付1名、看護師4名の計6名です。ワクチンは3回ともコミナティ®(ファイザー社製)を使用、抗体価はスパイク蛋白IgGで中和抗体とされているものを測定しています。ワクチン3回目は2021年12月末に接種し、その6ヶ月後に血液検査で抗体価を測定しています(6人中1人は未実施)。
抗体検査を外注しているBML社の臨床データによると、抗体価4,160で有効性95%(罹患リスクが約20分の1以下になる)、抗体価1,000未満だと有効性は50%以下となるようです。よってワクチンによる予防効果を95%で設定すると、抗体価は4,000以上必要、というのが一つの目安となります。
ワクチン接種しても、接種から6ヶ月経過すると抗体価は基準値以下に減少
この抗体価の基準を元にグラフの一番右側(⑥3回目接種6ヶ月後)を見ますと、5人中3人は目標値の抗体価4,160を下回っていますので、いつ感染してもおかしくない状態だと言えます(青の医師は3回目接種後にコロナ罹患したため抗体価が高価)。
国際的なデータでも、特にmRNA型ワクチン(ファイザーやモデルナ)は3-5ヶ月で抗体価が基準値以下に低下することが示されています。
より分かりやすくするために、グラフ①~⑥を6人の中央値で見てみましょう。
画像をクリックで拡大します。
グラフの解釈は以下となります(カッコ内は抗体価の中央値)。
①ワクチン接種前は抗体価がゼロ(抗体価0)
②1回目ワクチン接種では抗体価が不十分(抗体価724)
③2回目ワクチン接種により抗体価が基準値を越え、感染予防として有効となる(抗体価9,981)
④2回目ワクチン接種から6ヶ月経つと、抗体価は2回目接種前のレベルまで下がり感染予防効果が低下(抗体価767)
⑤3回目ワクチン接種すると効果はブーストされ、さらに高い抗体価を取得し、高い感染予防効果が期待できる(抗体価16,500)
⑥3回目ワクチン接種から6ヶ月経つと、抗体価は基準値以下に下がり、感染リスクは高まることが予想される(抗体価2,999)
特にmRNA型ワクチンはキレが良く効果は高いものの、効果の持続期間が短い印象があります。
抗体価が下がると感染予防効果は一般的に低下しますが、重症化を防ぐ効果は維持されるというデータもあり、さらなる4回目の追加接種が必要かどうかはまだ議論の余地が残ります。世界的には、予防効果よりも重症化リスクの低下を、ワクチン接種の意義として考えるようになってきていることは事実です。
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職