新型コロナワクチン3回目の副反応についての調査を報告します

コロナワクチンの3回目接種が始まりました

欧米で先行していたオミクロン株の流行に間に合わなかった感はありますが、新型コロナワクチン3回目の接種が日本でも開始されました。2回目接種の6ヶ月後を目安に3回目の追加接種が推奨されています。

私たちのクリニックでは、新型コロナワクチン1回目と2回目の接種時に、副反応調査を実施し、ホームページコラムで報告をしました。このコラムページだけで累計で250万人もの人に閲覧をしてもらい、ワクチンを受けるに当たっての心配事や副反応による生活や仕事への影響の予測などに対して、事前の情報提供ができたことを嬉しく思っています。

今回クリニックで医療者向け3回目接種を実施しましたので、副反応調査を報告します。

前提として、日本採用のファイザー社製・モデルナ社製コロナワクチンは、重度の副反応に関しては、インフルエンザなどの一般的なワクチンよりは頻度が高いものの、抗生物質や鎮痛剤などの日常的に使用する薬が起こす副反応の頻度と比べればはるかに少なく、アナフィラキシーは約10万人に1人とされています。

一方で、実際に体験する軽度の局所・全身症状は比較的出やすいという明らかな特徴があります。

東京ビジネスクリニックのスタッフによるワクチン接種後の副反応調査

  • 対象職種:医師、看護師、受付、医療事務、システムエンジニア、コーポレートスタッフ、その他
  • 使用ワクチン:ファイザー社製コロナワクチン(コミナティ®)
  • 回答者:接種1回目 71名、接種2回目 65名、接種3回目 68名
  • 調査期間:接種1回目 5月14日~5月20日、接種2回目 6月4日~6月16日、接種3回目 12月24日~2022年1月9日

局所反応について

① 1回目~3回目接種時に発生した局所の副反応(注射部位)

接種後の局所反応としては、1,2,3回目の全てで接種部位の痛みが9割の人に発生しています。同様に接種部位の熱感や腫れも2~4割の人に認められていますが、3回目接種後の局所反応は頻度として1-2回目よりもやや多い印象です。

② 局所の副反応(注射部位)が発生するまでにかかる時間

接種部位の痛みなどの局所反応が出るまでの時間は、1-2回目では接種後6-12時間が中央値でしたが、3回目接種では接種後3-6時間が中央値となっており、接種後比較的早い時間で局所反応が出ているようです。24時間以降に局所反応が出ることは稀です。

③ 局所の副反応(注射部位)が治るまでにかかった時間

3回目接種に伴う接種部位の痛みなどの局所反応が治るまでにかかる時間は、接種後48時間もしくはそれ以降が最頻であり、8割の人は24時間以上局所反応が続いたということになります。1,2回目接種後の局所反応に比べて、副反応がやや長く持続するようです。

全身症状について

④ 1回目~3回目接種時に発生した全身の副反応(全身症状)

3回目接種後の全身症状としては、倦怠感の頻度が最も高く7割程度、続いて頭痛と発熱が4-5割程度の人に認められています。2回目に比べて3回目では、関節痛や寒気などの副反応が3割とやや高頻度でしたが、一方で全く全身症状がない人の割合もやや3回目の方が高く2割超となっています。

⑤ 全身の副反応(全身症状)が発生するまでにかかる時間

3回目接種後の全身症状が出現するまでの時間は、中央値は1-2回目接種後と同様12-24時間であるものの、2割の人は6時間以内に出現しており、やや早期に副反応が出始めている印象です。これは局所反応の出現時間とほぼ一致しています。

⑥ 全身の副反応(全身症状)が治るまでにかかった時間

3回目接種後の倦怠感や発熱などの全身症状が治まるまでにかかる時間は、48時間以内が4割で最多ですが、24時間以内の人や48時間以降の人もいて時間分布にはばらつきがあるようでした。

コロナワクチン3回目接種後の副反応まとめ

  • 注射部位の腫れや痛みなどの局所反応は、3回目の方が2回目よりもやや高頻度で出現する。
  • 局所反応は3回目接種後3-6時間とやや短時間で出現し、持続時間が24-48時間程度とやや長い。
  • 発熱や倦怠感の頻度はやや下がるが、関節痛や寒気などの頻度はやや高く、全身症状はばらつきがある。
  • 全身症状は8割の人に出現し、会社や学校などの社会活動に影響のある(休む必要がある)発熱の頻度は4割程度である。
  • 全身症状は6-24時間とやや短時間で出現し、持続時間も48時間前後でやや長く、この傾向は局所反応と同様である。

結論としましては、これまでに見られなかったような全く新しい副反応や際立った特長はなく、全体としては3回目の副反応は2回目のときと同様だと考えて良いようです。

(注)あくまで東京ビジネスクリニックにおける調査結果に基づく評論であるため、一般に公表されている副反応の結果とは必ずしも頻度や数値が一致しないことがあることを理解の上で御覧ください。

ワクチンを接種する前から3回目の接種4週間後までの中和抗体の数値を調査し、まとめたコラムもございます。
よろしければこちらのコラムもご覧ください。

内藤 祥
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職

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