2021年秋〜冬にかけて、手足口病が流行しています。
例年夏にピークを迎えますが、季節外れの流行となり注目度が増しています。
手足口病とは
その名の通り、手足や口に水疱を伴う発疹が出る感染症ですが、原因となるウイルスはコクサッキーウイルスやエンテロウイルスといった一般的な風邪ウイルスであることがほとんどで、重症化することは稀です。ほとんどが小児(特に5歳以下)の間での流行で、夏に多く、前回2019年、前々回2017年と最近では1年おきに流行する傾向が続いています。
どのように見分ける? 発疹の特徴
小児において手足に発疹をきたすウイルス感染症は沢山ありますが、手足口病は分布が一部に集中していることが特徴です。手のひら、足の裏、足の甲、また肘や膝に赤くてプツプツした発疹が出てきます。一方で一般的には腕や太腿、脛の付近には発疹が出ません。腕や足にまんべんなく発疹が出ていたら、手足口病ではなさそうという見立てになります。口では唇から喉の奥の方まで分布し、ときに痛みやかゆみを伴います。その場で診断できる迅速検査キットなどはなく、症状問診と発疹分布の特徴により臨床的に診断されます。あまりしませんが採血で抗体価を2回測定することで確定診断することも可能です。
治療方法は?
一般の風邪ウイルスと同様、特効薬は存在しません。解熱剤や痛み止めなどの対症療法で経過を見る治療となります。特に抗生物質は無効です。また予防効果のあるワクチンはまだありません。
何に気をつければいい?
小児の中でも年齢の小さな子供の間で流行することが知られており、免疫力が低い状態で感染すると、稀ですが心筋炎や髄膜炎など致死的あるいは後遺症を残す合併症を起こすことがあり注意が必要です。保育所などの施設内で感染が広がりますので、発熱や水疱などの急性症状が消失し全身状態が改善するまではお休みすることが推奨されています。
大人も感染に注意!
手足口病は子どもの病気のイメージが強いですが、大人も感染します。
家庭内などで子どもから大人が感染を起こすと発疹が強く出現し、手の平や唇の痛みで生活に支障をきたすことがあります。
実は大人の方が症状が重く出ることが多く、全身の倦怠感や悪寒、筋肉痛などが出てくる事があるのが子どもと違う特徴です。
心当たりのない発疹や倦怠感で来院され手足口病と診断される方もいらっしゃいます。
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職