史上最短梅雨明けで史上最長酷暑到来!日本は今猛烈な暑さに覆われています。例年梅雨明けに多いのですが、突然の環境の変化に心も体もついていけず全国で熱中症が急増しています。今回は熱中症に関連して、話題の暑さ指数と熱中症警戒アラートについて説明をしていきます。
熱中症警戒アラートとは?
最近ウェブニュースなどで毎日のように熱中症警戒アラートと言う文字を見かけます。また暑さ指数と呼ばれる色分けした全国地図をよく目にするかと思います。実はこの暑さ指数とはWBGTと呼ばれ、もともと工場や屋外で作業する人たちの労働環境を測定するための指標でしたが、これを昨年より環境省と気象庁が試験的に導入し、今年より全国で熱中症の指標として本格導入されたという経緯があります。熱中症の危険度を、気温だけではなくこの暑さ指数で予測判定し、前日と当日の朝にリスクの高い地域には企業や学校、イベント主体、防災無線などを通じて警告を発出するという仕組みです。
暑さ指数とは?
正式にはWBGT(Wet Bulb Globe Temperature)と呼ばれるもので、もともと工場や屋外で作業する人たちの労働環境を測定するためのものでしたが、気温、湿度、これに直射日光の強さ(輻射熱)を加えた、人体と外気との熱の出入りに係る数値です。例えば、同じ気温30℃でも、乾燥していれば清々しい暑さに感じ、逆に湿度が高いと息苦しく不快に感じると思います。また同じ気温30℃であっても、日光が照りつける炎天下では焼けるような強い暑さを感じ、一時でも太陽が雲に隠れると暑さが緩むと言うな経験をしたことがあると思います。このように熱中症は気温だけではなく、湿度や直射日光の強さに強く影響受けることが分かっていて、いわば暑さが身体に及ぼす影響の大きさのことを「暑さ指数」と呼ぶことになりました。
暑さ指数の全国地図の見方は?
暑さ指数(=WBGT)はあまり見慣れない数字を指標としているため、熱中症の警戒が必要になる25を超えると黄色でマップを表示し、強い警戒が必要な28を超えるとオレンジ、31を超えると危険レベルで赤に表示されるというように分かりやすく色分けされています。WBGTの数値を知らなくても、オレンジや赤のドットが多い地域では熱中症のリスクが高いと直感的にわかるようになっています。33を超えると警報アラートが自治体より各組織団体へ発出され、イベントの中止や日中の屋外活動をしないように熱中症予防の警告が届くようになります。この時期の暑さはそれだけ危険なのです。
※色に関しては地図を提供する会社によって異なります。ここでは環境省提供の地図について言及しております。
↑暑さ指数の全国地図の一例(環境省 熱中症予防情報サイトより)
熱中症の原因と予防法は?
では、熱中症警戒アラートが発令されたらどのように対応すればよいのでしょうか。これまでは気温が高い地域では自己責任で暑さ対策をするという範囲に留まっていましたが、今年からは企業や学校、イベント主体、防災など、自治体までが包括的に熱中症を予防するような対策を取るよう、守るべき指針が出されています。
熱中症の対策を大きく分けると次の3つで、環境要因としての温湿度管理や日差しの管理、身体要因としての睡眠体調管理や水分管理、行動要因としての作業労働や運動管理にそれぞれ注意が必要です。
具体的な予防としては、以下の内容が環境省のホームページにも記載されていますので参考にして下さい。
- 不要不急の外出は避け、昼夜を問わずエアコン等を使用する。
- 高齢者、子ども、障害者等に対して周囲の方々から声かけをする。
- 身の回りの暑さ指数(WBGT)を確認し、行動の目安にする。
- エアコン等が設置されていない屋内外での運動は、原則中止または延期する。
- のどが渇く前にこまめに水分補給するなど、普段以上の熱中症予防を実践する。
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職