新型コロナワクチンの副反応についての調査を報告します

3回目の接種についても記載した最新版はこちらの記事をご覧ください。

以下、1,2回目実施時の調査報告です。

日本のコロナワクチン接種の累計回数が3,000万回を超えました(6月22日現在)。
今週より職域接種も開始となり、益々接種スピードが加速していく見込みです。

現在日本で使用されているコロナワクチンはファイザー社製・モデルナ社製ともに、メッセンジャーRNA型ワクチンという全く新しい機序から開発されたワクチンです。
VE(ワクチンによるコロナ発症予防効果)は94-95%と非常に高いことが分かっており、これは様々出現している変異型ウイルス(変異株)に対してもほぼ同様の高い予防効果が実証されています。

では、副反応はどうでしょうか。
アナフィラキシーなどの重度の副反応に関しては、一般的なワクチンよりは頻度が高いものの、抗生物質や鎮痛剤などの頻用薬と比べればはるかに少なく、その頻度は約10万人に1人とされています。
一方でファイザー社製・モデルナ社製ワクチンでは、私たち一般の人々が接種した場合に、実際に体験する副反応としての軽度の局所・全身症状が比較的出やすいという明らかな特徴があります。

今回私たちのクリニックでは、5月中旬より開始されたファイザー社製のワクチン接種が2回目まで完了しましたので、その副反応調査の結果をここに報告します。
この記事をご覧になる方が、副反応の種類や頻度について事前に予測することで過度な心配をせずに済み、また接種日以降の仕事やプライベートの予定を組むための参考になればと思います。

東京ビジネスクリニックのスタッフによるワクチン接種後の副反応調査

  • 対象職種:医師、看護師、受付、医療事務、システムエンジニア、コーポレートスタッフ、その他
  • 使用ワクチン:ファイザー社製コロナワクチン(コミナティ®)
  • 回答者:接種1回目 71名、接種2回目 65名
  • 調査期間:接種1回目 5月14日~5月20日、接種2回目 6月4日~6月16日

局所反応について

① 1回目と2回目接種時に発生した局所の副反応(注射部位)

接種後に発生した局所反応としては、接種部位の痛みが最も頻度が高く9割の人が痛みを感じています。
同時に接種部位の腫れや熱感も2-3割の人に認められています。
全体的に、1回目よりも2回目の方がやや副反応の頻度が高いもののあまり差はない印象です。

② 局所の副反応(注射部位)が発生するまでにかかる時間

接種部位の痛みなどの局所反応が出るのは、接種後6-12時間が中央値でした。
ただ接種直後や接種3時間以内に副反応が比較的早く出現している人もいます。
接種24時間以降に局所の副反応が出ることは稀でした。

③局所の副反応(注射部位)が治るまでにかかった時間

接種部位の痛みなどの局所反応が治まるまでにかかる時間は、接種後48時間以内が最頻でした。
接種後48時間以降も局所反応が続く人も1-2割ほどいました。

全身症状について

④1回目と2回目接種時に発生した全身の副反応(全身症状)

1回目接種後に発生した全身症状としては、倦怠感が最も頻度が多く、続いて頭痛、筋肉痛でした。出勤や登校などに影響する発熱の頻度は、約1割でした。
1回目接種後に全身症状がまったくない人が約5割でした。
一方で2回目接種後は、全身症状の副反応がとても多い結果でした。
2回目接種後の倦怠感は約7割、発熱と頭痛は約5割、それ以外の全身症状も約2-3割の人に複数認められました。
2回目接種後に全身症状がまったくない人は2割以下でした。

⑤全身の副反応(全身症状)が発生するまでにかかる時間

倦怠感や発熱などの全身症状が出るのは、接種後12-24時間が中央値でした。
接種直後や接種3時間以内に早期に全身症状が出る人は稀で、また接種24時間以降に全身症状が出る人も稀でした。

⑥全身の副反応(全身症状)が治るまでにかかった時間

倦怠感や発熱などの全身症状が治まるまでにかかる時間は、接種後24-48時間以内が中央値でした。
全身症状が接種後12時間以内に治まる人は稀で、48時間以上続く人は1割ほどでした。

まとめ

    • ワクチンの一般的な副反応には、局所反応と全身症状とがある。
    • 局所反応としては、ほとんどの人が接種部位に持続する痛みを感じ、3人に1人が腫れや熱感を感じる。
    • 局所反応は、1回目も2回目も頻度や程度にそれほど差がなく、接種直後から翌日までに症状が出現し、その翌日(接種2日後)までにはほぼ治まる。
    • 全身症状としては、倦怠感、発熱、頭痛が頻度が高く、出勤などに影響する発熱は1回目接種後は10人に1人、2回目接種後は2人に1人出現している。
    • 1回目接種後は約半数が全身症状がまったく出ないが、2回目接種後はほとんどの人に複数の全身症状が認められる。
    • 全身症状は、接種の半日後から翌日にかけて出現し、1-2日間持続して接種2-3日以内に治まることがほとんどだが、10人に1人ほどは接種3日後以降も症状が治まらない人がいる。

(注)あくまで東京ビジネスクリニックにおける調査結果に基づく評論であるため、一般に公表されている副反応の結果とは必ずしも頻度や数値が一致しないことがあることを理解の上で御覧ください。

内藤 祥
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職

新型コロナコラム一覧へ戻る

コラム一覧へ戻る

トップページへ戻る

関連記事

  1. スパイクタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質って何?

  2. Apple Watchで測れる血中酸素濃度とは?【血中酸素飽…

  3. ③ 妊娠中にインフルエンザワクチンは打っていいの?

  4. 撲滅寸前、だけど恐ろしい病気 ポリオ

  5. 小児の急性肝炎、その正体とは?

  6. 発熱したらどうしたらいいの?

カテゴリー

PAGE TOP
Translate »