インフルエンザワクチンのお話

新型コロナウイルス感染症の第2波が続いており、期待されるワクチンが接種できるようになるには、まだ時間がかかりそうです。今冬にはインフルエンザと新型コロナウイルス感染症が同時に流行する可能性が指摘されており、例年以上に​インフルエンザワクチン接種が強く推奨されています。

インフルエンザは国内では毎年、人口の8〜10%が感染する一般的な感染症です。新型コロナウイルスと同様に、飛沫・接触感染が知られています。例年では11月下旬〜12月上旬に始まり、1〜2月にピークとなって4〜5月に収束することが多いです。

インフルエンザワクチンは生後6ヶ月以上のすべての人に接種することが推奨されています。流行が予想されるA型2株、B型2株を含む4価の不活化ワクチンが使用され、成人では1回0.5ml、3歳未満では1回0.25mlを皮下注射します。13歳未満では4週間程度間隔をあけてから2回目を接種します。ワクチン供給が始まる10月に接種することが推奨されますが、遅れても接種する意義は十分にあります。

現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があります。

ワクチン株と流行株が一致するかどうかで効果が変わりますが、国内のデータでは、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。その他、高齢者のインフルエンザに関連した入院を減少させ、全死亡を減少させる効果もわかっています。安全性は高く、重度の副反応はほとんどないとされています。

ワクチンで予防できる病気はあらかじめ予防することが重要です。コロナ禍では、三密を避ける、手洗い・手指消毒に加え、インフルエンザワクチンをしっかり接種することで最大限の予防をしていきましょう。

インフルエンザワクチン接種について詳しくはコチラ

文献
厚生労働省:インフルエンザQ&A.(2020年11月閲覧) https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
上記ページにはさらに詳細な内容も記載されています。
 

柳本 蔵人
東京ビジネスクリニック 常勤医師
自治医科大学医学部卒。千葉県内の地域医療に従事し、東京ビジネスクリニックの常勤医となる。
日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医・指導医、日本在宅医療連合学会認定 専門医

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