Apple Watchで測れる血中酸素濃度とは?【血中酸素飽和度(SpO2)】

新型コロナウイルスの診断の目安として世の中に広く知られるようになったものの一つに血中酸素飽和度(SpO2)というものがあります。
パルスオキシメーターを指に装着して計測をするものがほとんどですが、最近ではウェルネス目的としてApple Watch等のスマートウォッチにも計測機能が搭載され気軽にチェックできるようになっています。(スマートウォッチ搭載のものは医療向けではないものがほとんどなのであくまでも一つの目安の値として捉えてください。)
今回はその血中酸素飽和度がどのようなものなのかを説明していきます。

血中酸素飽和度とは

血中酸素濃度と表記されることもあり、その名の通り血液中にどれくらいの酸素が含まれているかを示す値です。
医療現場では飽和を意味する英語であるサチュレーションと呼ばれています。
血中酸素飽和度にはSpO2とSaO2、2種類の種類があり、
SpO2がパルスオキシメータのように皮膚を経由して計測している「経皮的動脈血酸素飽和度
SaO2が実際に血液を採取してチェックする「動脈血酸素飽和度」とよばれています。
この2つの値はほぼ同じになるため比較的測定が簡単な経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を単に血中酸素飽和度と呼ぶことが多いです。

どうやって測定しているの?

血液は赤血球があることで赤く見えるようになっています。その赤血球の中に含まれるヘモグロビンが酸素と結合することでより鮮やかな赤色となります。
パルスオキシメーターはその赤さを光を当てて測定しており、赤色の色の度合いをみて血中酸素飽和度を測定しています。

スマートウォッチに搭載されてる目的は?

主に運動中や睡眠中の血中酸素飽和度を測ることでしっかり酸素を取り入れることができているかをチェックして健康を増進しようという目的で搭載されています。
マラソンなど低酸素状態になりやすい運動中に計測をすることで身体への負荷の確認をすることができます。記録された値をチェックすることで負荷バランスを調整したりして、より健康的な運動が可能となります。
値が低くなっている場合無理をしすぎている可能性があるので、負荷を減らしたり休憩を増やしたりして平常値をキープできる様に調整をしましょう。
※肌に測定部が密着していないと正確な値が計測できないためこの目的で利用される場合は密着されるバンドを利用することをお薦めいいたします。

どのような疾患の診断に使われるの?

血中酸素飽和度は通常96~99%が理想的な値とされています。
冒頭でもお話したように新型コロナウイルスのような肺炎や気管支喘息など呼吸器に関わる疾患にかかっていると95%以下になることが多く、その診断の目安として利用されることがあります。

新型コロナウイルスにかかった人の診断の目安としては99~96%を軽症、96~93%を中等症Ⅰ、93%以下を中等症Ⅱとされており、90%を下回る場合呼吸不全として速やかに対応すべき状態で重症と判断されることがあります。
第5波のときには、コロナ陽性者が自宅待機中にパルスオキシメーターを貸し出されて毎日血中酸素飽和度を測定し、病状の悪化を知る重要な指標として使用されたことは記憶に新しいと思います。

また血中酸素飽和度は睡眠時無呼吸症候群の重症度判定に使われることもあります。
睡眠時の血中酸素飽和度が頻繁に90%を下回ると、治療適応のある睡眠時無呼吸症候群である可能性があります。
家族からイビキがうるさいと指摘されたり日中の眠気や体の怠さが続いたりするようであれば医療機関で検査を受けることをお薦め致します。

当院でも睡眠時無呼吸症候群の検査・治療が可能です

このほかにもApple Watchで測れる心電図についても解説しております。よろしければご確認ください。

参考資料
日本呼吸器学会「よくわかるパルスオキシメーター」
https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/guidelines/pulse-oximeter_general.pdf

内藤 祥
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職

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