花粉症は花粉によるアレルギーで主に鼻水、鼻詰まり、眼の痒みなどを引き起こします。
また、鼻水は喉に落ちて咳なども起こすので花粉症のシーズンに起きる咳の原因が実は鼻水によるものだったということもあります。
花粉症に対してはまずは抗アレルギー薬の内服を行うのが基本です。なぜなら使用が簡単で効果が広範囲に及ぶからです。
抗アレルギー薬を飲むだけで花粉症の主な症状は抑えられます。しかし抗アレルギー薬には副作用があり眠気が出るという欠点があります。
また、抗アレルギー薬は母乳を通じて赤ちゃんに移行して眠気を引き起こしたりするため授乳中は飲めません。
抗アレルギー薬でカバーできないところは外用で対処します。主に目薬と点鼻薬です。
目薬はコンタクトレンズの上から点眼できるものとできないものがあります。
基本的には一日4回点鼻しなくてはいけませんが一日2回の点鼻でいいものも発売されてきました。
点鼻は一日1-2回鼻にスプレーするだけで強力な鼻水止めの効果と鼻閉を改善する効果があります。
漢方薬も主に抗アレルギー薬がカバーできない症状をカバーします。
主なターゲットは鼻詰まりです。漢方薬は粘膜を収縮させることで鼻詰まりをよく通すことができます。
また、口の乾きを取ったり、抗アレルギー薬とはまた別の機序で鼻を止めたりします。
副効果としてむくみを取ったり肩こりを取ったり湿疹やニキビを防いだりもでき、より細かい調節が可能です。
また、花粉症に対して使われる漢方薬の多くはエフェドリンを含んでおり、眼が覚める副作用があります。
これによって抗アレルギー薬の眠くなる副作用を打ち消すこともできます。
葛根湯加川芎辛夷
肩こりを取る効果と鼻詰まりを通す効果を持ちます。額が痛む場合は鼻の奥に鼻汁が溜まっている可能性が高いのでこれを使うといいでしょう
辛夷清肺湯
鼻詰まりを通す効果がある薬ですが同時に鼻や喉の炎症を取り、潤す効果があります。鼻の奥が乾く場合、鼻汁に喉痛も併発する場合に使うと良いでしょう。葛根湯加川芎辛夷との併用も効果があります。
小青竜湯
本来は体のむくみを取る薬ですが強力な鼻水止めの効果があります。ただ効果が強すぎて乾かしすぎてしまうこともあるので要注意です。
越婢加朮湯
鼻汁を止める効果と粘膜の炎症を取る効果があるので目のかゆみなどを併発する場合におすすめ
麻黄附子細辛湯
体を温め鼻汁をとめる効果があります。体が冷えて抵抗力が弱まっている場合や怠さが強い場合はこれがおすすめ。
以上の薬はエフェドリンを含んでおり、眼が覚める副作用があり、抗アレルギー薬の眠さを相殺できます。
荊芥連翹湯
鼻汁を止める作用はありませんが皮膚全般の炎症を取る作用があり、眼のかゆみや湿疹を治したり鼻の炎症を取って鼻詰まりを通す作用があります。ただし湿疹にはこれだけでは不十分なので塗り薬を併用しましょう。
日本医科大学卒業
産業医
内科認定医
漢方専門医
麻酔科標榜医