抗体検査とは過去にそのウイルスに感染していたかを調べる検査です。
抗体は免疫グロブリンというタンパク質のことであり、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があります。
今回はその中から主に検査の対象となるIgMとIgGの2種類の違いを説明いたします。
IgMとは
細菌に感染した時に一番最初に作られる抗体です。
発症してから1週目の中頃から後半に生成が開始され、検査で検出可能になるのは発症後2週目頃からとされています。
そのためウイルスに感染して間もないと陰性になってしまうことがあるため、現在感染していないという陰性の証明に利用することは難しいとされています。
その後、2週間から4週間ほどをかけて消失していき検査実施をしても検出されなくなります。
IgGとは
IgMが生成された後に生成され始めます。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多いです。
比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なります。(新型コロナウイルスの持続期間に関しては現在調査中です。)
IgGが消失すると再感染する恐れがあるため、ワクチンの接種などによって再度免疫を獲得することが望まれます。
このIgGの検査にはSタンパク質を標的としたもの、Nタンパク質を標的としたものがあり、コロナウイルスに感染した場合はSタンパク質とNタンパク質両方、mRNAワクチンで抗体を獲得した場合はSタンパク質のみが陽性になります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
IgMとIgGの検査結果の見方
IgG陰性 | IgG陽性 | |
IgM陰性 | 感染していない もしくは 感染してすぐであり反応していない |
過去に感染したことがある 感染性は少ないと思われる |
IgM陽性 | 感染して期間があまり経っていない 感染性あり |
感染してからある程度時間が経った状態 感染性が残っている可能性あり |
当院ではIgM検査、IgG検査ともに実施しています。
一般的なウイルスの抗体検査について
新型コロナウイルスの抗体検査について(IgM抗体検査は診断としては使用していません)
医療法人社団クリノヴェイション 理事長
専門は総合診療
離島で唯一の医師として働いた経験を元に2016年に東京ビジネスクリニックを開院。
日本渡航医学会 専門医療職